ひとびとの跫音





読み:ひとびとのあしおと
ジャンル:随筆集

歴史を変革する人物を描きつづけた著者が初めて身近な、正岡子規の詩心と情趣を受け継いだひとびとの豊饒にして清々しい人生を深い共感と愛惜をこめて刻む。司馬文学の核心をなす画期的長篇。

内容
(上)歴史を変革する人物を描きつづけた著者が初めて身近な、正岡子規の詩心と情趣を受け継いだひとびとの豊饒にして清々しい人生を深い共感と愛惜をこめて刻む。司馬文学の核心をなす画期的長篇。読売文学賞受賞。
(下)詩人、革命家など鮮烈な個性に慕われつつ、自らは無名の市井人として生きた正岡家の養子忠三郎ら、人生の達人といった風韻をもつひとびとの境涯を描く。「人間が生まれて死んでゆくという情趣」を織りなして、香気ただよう名作。

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"ひとびとの跫音"のレビュー

(評価:3)
市井人たちの物語
レビュアー: shiba-ryo.com
2006-04-19
正岡子規の養継子の正岡忠三郎氏、そしてその親友のタカジ。この二人の人生を軸に、二人が生きた明治末期から昭和中期までを描いた作品。

著者自身が「人間がうまれて死んでゆくということの情趣のようなものをそこはかとなく書きつらねている。」と語っているように、この物語の主題には政治も戦争もなく、英雄豪傑や美女も登場しません。市井に生きたひとびとの人生が、ただただ素朴に描かれています。

文学作品としては秀逸と思うのですが、司馬遼太郎と言えばやはり激動を描く歴史小説や深い造詣をもとにしたエッセイ・対談が魅力。自分の場合、そうした作品と比較してしまうためか、物足りなさを感じます。

ただ、物語の最後。忠三郎の死に際してタカジが送った詩には心打たれました。素直で、切なく、そして美しい。正直、タカジの生き方や人格で共感できるところはほとんどないのですが、この詩の美しさだけは印象に残りました。


他の司馬作品とは一味違っており、好みが分かれる作品だと思います。


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