風の武士





読み:かぜのぶし
主な登場人物:柘植信吾
ジャンル:歴史小説
時代:幕末
巻数:上下

伊賀忍者の末裔、柘植信吾が数奇な運命を辿って熊野山中の幻の国「安羅井」を巡る陰謀に巻き込まれる。痛快アクション長編。

内容
(上)幕末のある日、伊賀同心の末裔で貧乏御家人の弟・柘植信吾は異相の山伏とすれ違った。その時、何気なく感じた異常感――予感は的中し、信吾はたちまち幕府と紀州藩を巻き込む大秘事の渦中に引き込まれた……。熊野の秘境の安羅井国(やすらいこく)とは? またそこに隠された巨万の秘宝とは?!波乱万丈の伝奇長編。(全二冊)
(下)幕閣といい、大名といい、武士とは所詮、欲の亡者か?江戸から東海道を経て熊野の秘境へ、伝説の秘国安羅井(やすらい)の黄金を求めて闇の軍団は殺到する。幕府隠密として事件に巻き込まれ、恐怖の迷路にのめり込んだ孤剣の男・柘植信吾が、凄絶な血闘の果てにたどり着いた地で見たものは?幕末伝奇長編。(全二冊)

印象に残った一節
・「青臭いことをいうな」「若いからね。青臭いだけが、若者の取り柄だろう。私の青臭さを買ってくれる気にはなれないか」

・「だから、私は子供のころから、扶持どりなどをする者は人のくずのようなものだと思ってきた。私は不自由な暮らしのなかで育ったから、物や金のありがた味にはもろい。金品を施されれば、施し主につい身も心もささげてしまいかねない所がある。累代、微禄で飼いならされた者のあわれさというものだ」

・(あいつは、故郷のような女だ) 信吾は、お勢以に惚れているつもりはなかった。ずるずるべったりでなじんでしまった仲にすぎなかったが、あるいは男女というものは、血を沸かしあう仲よりも、ひょっとするとそんな仲のほうが、ずっと心に根をおろした真実なものがあるのかも知れなかった。

司馬遼太郎新刊

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  1. The Intelligent Investor より:

    司馬遼太郎のマイナー(?)な作品群
    タイトルのとおり、ここのところ司馬遼太郎のマイナーな作品を読んでます。まだ読み終わってないものもありますが、以下の作品です。

    それぞれの作品の共……

"風の武士"のレビュー

(評価:4)
司馬風忍者ファンタジー
レビュアー: shiba-ryo.com
2005-08-10
昭和三十六年発表の、司馬遼太郎の初期忍者長編。

伊賀忍者の末裔、柘植信吾。卓抜した剣術と忍びの術を持つものの、泰平の世ではそれを振るうこともない。そんな中で突然勃発した紀州熊野の幻の国「安羅井」を巡る幕府と紀州藩による熾烈な争いに、信吾は己の持つ非凡の才を注ぎ込む。。。

本作でも初期司馬作品の特徴である忍者アクションが満載で、加えて「かぐや姫」「天狗」といった神代以来の伝説にヒントを得たファンタジー要素も多く盛り込まれています。さらに信吾の持つ若さゆえの行動力、無邪気さ、素直さが物語のアクセントとなり、全体として非常に魅力的な一冊となっています。

一風変わった本作ですが、小説として非常に楽しく読めます。特に最後まで結末がわからず、ドキドキしながらページをめくる気持ちなど、他の歴史作品では味わえない楽しさがありました。


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