木曜島の夜会




読み:もくようとうのやかい
収録作/主な登場人物:
木曜島の夜会/木曜島のダイヴァーたち
有隣は悪形にて/富永有隣、吉田寅次郎(松陰)
大楽源太郎の生死/大楽源太郎
小室某覚書/小室信夫

内容
遠くオーストラリア大陸の北端にぽつりと浮かぶ、荒涼とした小島――木曜島。しかし、その海底は高級ボタンの材料となる白蝶貝の宝庫であった。明治の初めから、多くの日本人が傭われて、採取のために異国の海に潜り続けてきたという。彼らの哀歓とその軌跡。ほかに歴史短篇「有隣は悪形にて」「大楽源太郎の生死」「小室某覚書」

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"木曜島の夜会"のレビュー

(評価:5)
Japanese is a Japanese.
レビュアー: shiba-ryo.com
2006-02-09
高級ボタンの材料となる白蝶貝の宝庫、オーストラリア木曜島。
この木曜島で明治から昭和初期にかけて活躍した日本人ダイヴァーたち。金のために、生きるために、常に死と隣り合わせの海底で、命を賭けて白蝶貝を水揚する様子を、実際に木曜島で活躍した元ダイヴァーたちの回想談をもとに描いた作品です。

世界でもっとも過酷な木曜島ダイヴァーの仕事。世界中のどの民族も適応できなかったこの仕事に対して驚嘆すべき適性を見せ、次々と水揚量を増やしていった日本人たち。その様子を通して世界に類のない、日本人の仕事への姿勢や精神性が克明に描かれており、”日本人とは何か”ということを考える上でとても意義のある作品だと言えます。最後を締めくくる”Japanese is a Japanese.”というコトバは、まさにこの作品のテーマが集約されていると感じました。


また、他の収録三編も秀逸。いずれも幕末に生きた脇役・端役といった人物を描いた作品ですが、マイナーな人物やテーマを描きながらも中身は濃く、大いに楽しめます。司馬遼太郎の非凡さを改めて思い知らされました。

ページ数も少なく、読みやすい文庫ですが、非常に厚みのある、充実した一冊でした。


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