果心居士の幻術





読み:かしんこじのげんじゅつ
ジャンル:歴史小説
収録作/主な登場人物:
果心居士の幻術/果心居士
飛び加藤/飛び加藤
壬生狂言の夜/与六、松原忠司、土方歳三
八咫烏/八咫烏、赤目彦
朱盗/藤原広嗣、穴蛙
牛黄加持/義朗、匣ノ上

戦国忍者もの二編と、古代~平安期を描いた四編を収録した司馬遼太郎の初期作品短編集

内容
超人的な力の持ち主であるがゆえに、戦国時代の武将たちの運命を左右しながらも、やがては恐れられ殺されていった忍者たちの不可思議な生き様を描いた『果心居士の幻術』『飛び加藤』。そのほか、日本建国の神話に題材を取った『八咫烏』から、幕末・新選組の裏面史を扱った『壬生狂言の夜』まで、歴史の中に埋もれた興味深い人物・事件の数々を掘りおこした作品集。

印象に残った一節
・――おそらく、二つの血を兼ねる場合、顔の似ない人種に対しては劣等感をもち、顔の似た人種のほうには憎しみをもつのではないか。――八咫烏

・広嗣の気持の振幅ははげしい。にわかに女がいとおしくなった。と同時に、やまとの語を解しない女の前で、懸命に自分の将来についてしゃべりはじめた。男が、愛する女の前で自分の将来を語るときほど、幸福なときはない。――朱盗

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  1. ショップブログ より:

    果心居士の幻術 司馬遼太郎

    司馬遼太郎の果心居士の幻術 読みました!

    忍者シリーズが続きますね。
    忍者というのは その性質上、(海外でいうスパイみたいなものなのかな?)
    本名や出生地などは ほとん…

"果心居士の幻術"のレビュー

(評価:5)
淡々とした語り口の六編
レビュアー: shiba-ryo.com
2005-08-12
司馬遼太郎の初期忍者もの短編を表題にした、六編からなる短編集。

前半二編の忍者ものは戦国期に実在した、超人的かつ悪魔的な忍者、果心と飛び加藤が主人公。いずれもほとんど伝説とはいえ登場人物が実在していたためか梟の城、風の武士、風神の門のような、創造的要素は少なく、超人忍者の不気味さや、それを取り巻く人々の心理、行動などが落ち着いて描かれています。

そして後半四編は古代~平安期が舞台という、珍しい作品。司馬遼太郎といえば戦国から幕末の作品が多いので、これもまた違った趣でで楽しめました。特に「牛黄加持」などは真言宗の僧侶たちの自慰行為や妄想、変態的な儀式が詳しく描かれており、他の作品とはまったく違うおもしろさが味わえます。


本作収録の全編では、淡々とした語り口が共通しています。後の歴史長編で多く見られる登場人物への思い入れや愛情がほとんど感じられない、実に冷静で、粛々とした作品集です。舞台となる時代、登場人物なども含めて、司馬遼太郎の意外な一面を知ることができる作品でした。


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