十一番目の志士





読み:じゅういちばんめのしし
主な登場人物:天堂晋助
ジャンル:歴史小説
時代:幕末
巻数:上下

宮本武蔵の二天一流を相伝する、架空の長州藩士天堂晋助。超人的な剣技で幕末の京・大坂・江戸で次々と暗殺劇を繰り広げる。

内容
(上)長州藩の下層の出ではあったが、天堂晋助の剣の天稟は尋常なものではなかった。ふとしたことから彼を知った藩の過激派の首魁高杉晋作は、晋助をおそるべき刺客にに仕立て上げる。京で大坂でそして江戸で忽然と現われ、影のように消え去る幻の殺人者のあとには、常におびただしい血が残された…剣の光芒が錯綜する幕末の狂宴。
(下)幕末の情勢は大きな曲り角にさしかかった。中央から締め出され、藩領に閉じ込められた長州藩では勤王党の高杉晋作がクーデターに成功。そして慶応二年、ひそかに薩摩藩と手をにぎり、藩を上げて幕府との決戦に肚を固める。その緊迫した状況の下で、刺客晋助の剣は獲物を狙って冷酷にふるわれ続けた。

印象に残った一節
・「考えてもみろ。人間というものは艱難は共にできても富貴は倶にできない。わが藩内の同志どもも、艱難のときには心を一つにして目的のために戦うが、それが成功し富貴を得ると、もう仲間割れをはじめる。君子たる者は、富貴が来らばそれを避ける」

・「時勢が、変わるな」
「変わる」
広沢は、うなずいた。同時にこの広島における長州藩の外交団の腰も、この報が入ってからにわかにすわり、対幕強硬態度でゆくことにきめた、という。
「人と世の動きの関係というものはそういうものだ。おれの質が、剛腹というわけではない。時勢がおれを剛腹にさせる」

司馬遼太郎新刊

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  1. The Intelligent Investor より:

    司馬遼太郎のマイナー(?)な作品群
    タイトルのとおり、ここのところ司馬遼太郎のマイナーな作品を読んでます。まだ読み終わってないものもありますが、以下の作品です。

    それぞれの作品の共……

"十一番目の志士"のレビュー

(評価:3)
「世に棲む日日」への踏み台
レビュアー: shiba-ryo.com
2005-08-05
伝説の二天一流の使い手で水呑百姓出身の殺人マシーン、天堂晋助。ひょんなことから高杉晋作と出会い、その指示のもとで京阪・江戸で局地的な暗殺を繰り返す。という内容。
率直に感想を言うと、これまで読んだ司馬作品(約50作品)の中で一番おもしろくない長編でした。

「梟の城」「風の武士」といった暗殺・忍びを題材にした他の創作系作品と比べても何か物足りず、また「人斬り以蔵」のような実在した暗殺者ものと比べてもリアリティがなく、中途半端になってしまっていると思います。また全体的に史実と創作がうまく絡み合っていない印象を受けました。尻切れトンボ感のあるラストもちょっと納得できません。


とはいってもそこは司馬遼太郎。最終的に本作を"踏み台"にして「世に棲む日日」や「花神」といった幕末長州系の名作を書き上げているため、本作にもそれなりの意味はあると思います。ただ、やはり本作は万人向けの内容ではありません。初心者であればまず最初は「世に棲む日日」を、それ以外の人は機会があれば読めばいいと思います。


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