アームストロング砲




読み:あーむすとろんぐほう
収録作/主な登場人物:
1. 薩摩浄福寺党/肝付又助
2. 倉敷の若旦那/大橋敬之助(立石孫一郎)
3. 五条陣屋/木村裕次郎、乾十郎
4. 壬生狂言の夜/壬生狂言の夜/与六、松原忠司、土方歳三
5. 侠客万助珍談/鍵屋万助
6. 斬ってはみたが/上田馬之助
7. 大夫殿坂/井沢斧八郎
8. 理心流異聞/沖田総司
9. アームストロング砲/鍋島閑叟

西欧に劣らないほどの近代藩を作り上げた大名から博徒の親分、目明しまで。幕末に活躍した男たちを生き生きと描いた傑作短編集

内容
幕末随一の文明藩、佐賀藩の鍋島閑叟(かんそう)は、若い秀才たちに極端な勉学を強いた。近習・秀島藤之助は、世界最新の高性能大砲の製造を命じられ、頭脳の限り努力する。酷使された才能は斃(たお)れたが、完成したアームストロング砲は、彰義隊を壊滅させ、新時代を開いた。風雲の中に躍動する男達を描く、傑作9編を収録。

タグ: , ,

関連ページ

"アームストロング砲"へのトラックバック(1件)
トラックバックURL:
  1. 編集者Asanaoのブログ より:

    アームストロング砲(司馬遼太郎)
    アームストロング砲
    司馬 遼太郎 / 講談社
    スコア: ★★★★★

     以前、『殉死』が『坂の上の雲』のあとがきのようなもの、と書きましたが、この……

"アームストロング砲"のレビュー

(評価:5)
歴史を動かした後装式鋼鉄砲
レビュアー: shiba-ryo.com
2005-10-12
幕末に活躍した男たちを描く9編。表題のアームストロング砲をはじめ、力作が揃う短編集。
中でも特に印象に残ったのは幕末に生きた大坂の博徒の親分、鍵屋万助を描いた「侠客万助珍談」。幕末の激動の中、佐幕も攘夷も関係なくただひたすらに金儲けを目論む万助。金儲けといっても陰湿さは全くなく、底抜けの明るさと筋の通った哲学があるため万助の生き方は爽快で、また可愛げをも感じました。

そして表題の「アームストロング砲」。上野彰義隊を一瞬で壊滅させ、歴史を旋回させた大砲。その砲を佐賀藩が独自に製造するまでの様子が詳しく描かれています。この時期、西欧でもまだ英仏独といった一流国のみしか手にしていなかった後装式鋼鉄砲を、極東の、それも江戸幕府の一属邦である佐賀藩が製造したという事実はそれだけでも驚愕であり、同時に100年前の日本の技術者たちの"進歩"に対する貪欲な姿勢に感動しました。
古くは火縄銃から、幕末の施錠銃、日露戦争の下瀬火薬など。革新的な兵器は歴史を動かす力を持っていることを、司馬遼太郎はその多くの著作中で詳しく描いています。特に明治維新成立に多大な寄与をしたアームストロング砲はその代表的な存在であり、砲にまつわるドラマも多く、掛け値無しにおもしろい作品でした。

アームストロング砲は"花神"などでも描かれている、幕末史における非常に重要な存在です。司馬遼太郎の幕末作品を読んでいる人なら、本作は欠かせない一冊だと思います。

なお、興味があればぜひ"人斬り以蔵"に収録されている短編"おお、大砲"も読んでみてください。こちらも幕末の大砲を描いているのですが、全くと言っていいほど対照的でおもしろいです。


... 余談ですが、ちょうど"峠"を読んだばかりなので継之助が理想としていた"武装独立割拠"を、佐賀藩が強大な武力を背景に実現しているのを読んで「継之助が佐賀藩に生まれていればなぁ。。」などと考えてしまいました。(歴史に"もしも"は禁物ですが) ...


レビューを投稿する