妖怪





読み:ようかい
主な登場人物:熊野源四郎、腹大夫、日野富子、今参りの局、唐天子
ジャンル:歴史小説
巻数:1

内容
悪の限りがはびこる室町時代頽廃期。6代将軍の落胤という熊野の源四郎は、「将軍になろう」と京へ上る。京は7代将軍足利義政の御台所日野富子と、側室の今参りの局の陰湿な権勢争いに明け暮れ、源四郎はその暗闘の虜となり唐天子の幻術に翻弄される。応仁の乱前夜の奇々怪々に乱れる京の風雲を描く――。

印象に残った一節
・欲が、智恵に勝った。
智恵というのは、真空のなかで培養しなければならない。欲という風にあて、欲という雨にぬらせば、智恵というもっともこわれやすく変質しやすいものは、もうかたちがかわって智恵でもなんでもなくなってしまう。
細川勝元は諸侯きっての智恵者とはいえ、そういう微妙なことがわかるほどの智恵者ではなかった。
かれは、欲に勝てなかった。

・「腹大夫も、いうことが品下ったな。むかしは印地の大将として都の風雲にのぞもうとしたこともあったのに」
「その後、世の中の辛酸をなめた。苦労は人間の志を小さくするものだ」
その夜はふたりで濁り酒をくみかわし、小屋で寝た。雨が流れこんで、小屋のなかの寝わらまで濡らした。

・「しかし、毎日することがない」
そのとおりであった。飯と寝床をあたえられて飼われているというのは、いざそんな身分になってみると、意外にこの退屈さはつらいものであった。人間というのは働かずにいるという習性を神からあたえられなかったのであろう。

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"妖怪"のレビュー

(評価:2)
テレポーテーション。。
レビュアー: shiba-ryo.com
2005-12-24
舞台は応仁の乱前夜の京都。既に政権担当能力を失っている室町幕府が支配する京の街は、鴨川のほとりに餓死者の死体が積み上げられるという、まさに世紀末の様相。そうした不安な世の中に跋扈する、幻術使いの唐天子が巻き起こす奇怪な事件を描く。

本作を分類するとしたら、「梟の城」「大盗禅師」「果心居士の幻術」など、人知を超越した変幻自在の系統に属すると思いますが、そうした作品と比べてもこの「妖怪」はかなりぶっ飛んでます。たとえば、テレポーテーションしちゃったりとか。。
あと、登場人物のすべてがあまりにも簡単に唐天子の術にかかってしまうのもちょっと興ざめ。特に源四郎、兵法修行で精神力を鍛えてるのにもかかわらず、京都に戻ってきたらあっさりと術中にはまってしまうあたりは「ヲイヲイ。。」という感じです。

応仁の乱にまつわる政治的駆け引きの描写などを期待していたので、肩透かしをくらったような印象でした。


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