夏草の賦





読み:なつくさのふ
主な登場人物:長曾我部元親
ジャンル:歴史小説
時代:戦国
巻数:上下

戦国時代、一介の地方豪族から四国を統一し、覇を唱えた長曾我部元親の劇的な生涯を描く長編

内容
(上)英雄豪傑が各地に輩出し、互いに覇をきそいあった戦国の世、四国土佐の片田舎に野望に燃えた若者がいた。その名は長曾我部元親。わずか一郡の領主でしかなかった彼が、武力調略ないまぜて、土佐一国を制するや、近隣諸国へなだれ込んだ。四国を征服し、あわよくば京へ・・・・・・が、そこでは織田信長が隆盛の時を迎えんとしていた。
(下)もし、おれが僻地の土佐ではなく東海の地に生まれていたならば・・・・・・長曾我部元親は嘆く。強盛を誇った信長が斃れても、素早く跡を襲った豊臣秀吉によって、営々と築きあげてきた四国に侵略の手が伸びてきた。そして再び土佐一国に、押し込められようとしている――土佐に興り、四国全土を席巻して中央を脅かした風雲児の生涯。

印象に残った一節
臆病こそ智恵のもとであり、臆病者だからこそ自分自身を練り、言いきかせ、智恵を持ってみずからを鼓舞することで勇気を得られる(長曾我部元親)

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  1. ものまにあ より:

    夏草の賦(上) / 司馬遼太郎著
     時は戦国、知将・長曾我部元親が土佐の一群から立身して四国を平定し、天下統一を…

  2. ものまにあ より:

    夏草の賦(下) / 司馬遼太郎著
    (感想は上巻からのつづきです) 時は戦国、知将・長曾我部元親が土佐の一群から立…

"夏草の賦"のレビュー

(評価:5)
歴史は本当におもしろいと思える一冊
レビュアー: shiba-ryo.com
2005-05-15
「臆病こそ智恵のもとであり、臆病者だからこそ自分自身を練り、言いきかせ、智恵を持ってみずからを鼓舞することで勇気を得られる」この表現に象徴されるように、司馬遼太郎は長曾我部元親を、臆病であるがゆえの慎重さや周到さを持つ人物として描いています。

自分も臆病なタチなのでこの元親の哲学には共感でき、また多くを学べました。さらに元親の人間臭さも多分に描かれているので、信長や秀吉などの常人とはかけ離れた才を持つ人物とは違って親近感を覚えます。

四国に覇を唱えた長曾我部家ですが、結局は中央政治に対する無関心がもとで版図を押さえられ、子の盛親の代で滅亡してしまいます。

悲しい最期ではありますが、元親の残した長曾我部侍の精神は江戸期を通して郷士階級として生き続け、そして三百年の後に坂本竜馬、中岡慎太郎、武市半平太らの明治維新の原動力となって再び歴史に姿をあらわします。

この途方もなくスケールの大きい精神の輪廻にはロマンを感じます。事前に「竜馬がゆく」を読んでいたからかもしれませんが、歴史は本当におもしろい、と思える司馬作品らしい素晴らしい一冊でした。

最後に。本作はNHK大河ドラマに最適だと思います。

姫若子と呼ばれた年少時代。気力充実し土佐統一を果たした青年期。四国統一の野望と豊臣政権への恭順に悩む壮年期。嫡子信親を失い、後の長曾我部家滅亡への布石を残した晩年期。

いずれもドラマ性に富んでいるし、一領具足や長曾我部式目などの画期的な諸制度もいいスパイスになると思います。過去に大ヒットした独眼流政宗によく似た境遇だし、脚本や配役を間違えなければ必ず名作になるのではないでしょうか。


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