古往今来




読み:こおうこんらい
ジャンル:エッセイ

内容
古往今来とは「昔から今まで」の意である。『私は「古往」が単独に存在するのは、にがてである。人間を考える場合、そのひとを成立させている歴史的条件を巨細に見、その時代の気分を感じねば、そのひとの心も行動も動いてこないし、さらにはそのひとの人生の価値についての値ぶみも、しようがない。――「今来」のなかにいるよき人を「古往」のなかに置いてひそかに歩かせてみる愉悦はたとえようもない』(あとがきより)

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"古往今来"のレビュー

(評価:4)
日本の政治の本質
レビュアー: shiba-ryo.net
2010-11-25
昭和35年から54年までの間に新聞・雑誌等で発表したエッセイを収録。よく言えば「バラエティに富んだ」、悪く言えば「寄せ集め」の一冊です。

似たようなエッセイ集は既に何冊か読んでいますが、やはり弔辞や作家評、作品評は読んでもあまりおもしろくありません。

そんな中で強烈に印象に残ったのが昭和51年に書かれた「日本の統治機構について」の中の一節。

『日本における野党が、政府攻撃において外交問題をかかげるときに昂揚するという性癖はこのときから出発したのかもしれず、また激しく倒閣をさけびながら政権交替のための統治能力を本気で持とうとしないという性癖も、この時期の薩摩勢力をもってあるいは祖型とするかもしれない。さらにいえば、大正デモクラシーの時期の政党も、戦後の政党も、社会の保護者として徹底するよりも「官」の寄生集団として存在するという性癖をもつ。このことも、明治十年までにできあがった太政官国家の祖型と無縁でないかもしれない。』

まさに今、自分たちが現在進行形で経験している民主党政権の本質がほぼすべて、的確に、しかも30年以上前に言い当てられていたのには正直驚きました。

数十年に渡って日本と日本人のことを考え続けた司馬遼太郎。その鋭い考察は時代を越えて通用するものなのだと、改めて思い知らされました。

日本の政治家はもっと日本と日本人のことを本気で考え、国のための仕事に取り組んで欲しいものです。


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