人間というもの




読み:にんげんというもの
ジャンル:名言集

内容
『竜馬がゆく』『坂の上の雲』などの膨大な作品群によって、人間とは何か、日本とは、日本人とは何かを問い続けた国民作家・司馬遼太郎。本書は、数ある名作・名随想のなかから、混迷の現代社会を生きる上での道標とすべき珠玉の言葉を、テーマ別によりすぐったアフォリズム集である。歴史・文明への透徹した洞察、人間への温かなまなざし―司馬文学の魅力を濃密に凝縮したファン垂涎の一冊。

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"人間というもの"のレビュー

(評価:4)
名文・名言集
レビュアー: shiba-ryo
2011-04-08
司馬遼太郎作品から名文を抜き出し、カテゴリごとにまとめた作品。
このサイトの「印象に残った一節」の文庫版のようなものです。

断片的なので、基本的には各作品を通して読んだほうが良いと思いますが、司馬作品を読むきっかけにしたり、一度読んだ作品の場面を回想したり、という用途には使えると思います。

とりあえず今回は、数多い名文の中でもちょうど今の社会情勢とかぶるって印象深かったものをピックアップしてみます。

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商利や生産上の利益は、元来が、薬効をもつ毒物のようなものである。息せき切ってそれを追求すれば、毒に冒されて人格がこわれかねない。また使っている人間たちを利益追求のために鞭打つようなことをした場合、当人も使用人も精神まで卑しくなってしまう。
『菜の花の沖 五』
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昨今、利益追求・効率重視・モラル無しという会社が本当に多くなってきています。
4月から社会に出た新卒社員たちが、そうした会社で働くことでどんどん精神が卑しくなってしまうことを思うと、可哀相でなりません。


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小人という西郷の用語は己れを愛する者という意味である。
「……であるから相手がたとえ小人でもその長所をとってこれを小職に用いればよく、その才芸を尽くさしめればよい。水戸の藤田東湖先生もそのようなことをいわれた。小人ほど才芸のあるもので、むしろこれを用いねばならぬものである。さりとてこれを長官に据えたり、これに重職をさずけたりするとかならず国家をくつがえすことになる、決して上に取りたててはならぬものである」
『翔ぶが如く 三』
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鳩山由紀夫、菅直人といった政治家は、まさにこの小人に分類されるのではないかと思います。
そして未曾有の危機の今、そうした政治家らが指導的立場にいることは非常に残念です。


他にも多数の価値ある名文・名言が収録されています。
受け取り方は人それぞれだと思いますが、こうした名文を続けて読むことで、司馬遼太郎の非凡な人間・社会への観察眼のすごさというものを、改めて強く感じました。


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