街道をゆく (23) 南蛮のみち 2
読み:なんばんのみち2
ジャンル:紀行文
内容
ポルトガルは、大西洋の水蒸気を運んでくる海風のおかげで雨が多く、また海水の温度が寒暖の差をすくなくし、いわば常春といっていい。太陽がぞんぶんに照っているという点でも、ヨーロッパでもっともめぐまれている。人間がおだやかで秩序的であり、スペイン的な激情は見られない。
印象に残った一節
かれ(フェリーペ二世)は、結果としてはスペインを没落の坂へ蹴おとした人物なのだが、個人としては性格も暮らしも、謹直な修道僧だったといわれる。まじめ人間が、方向もわからずに権力をにぎって大働きすることのおそろしさの標本のような気がしないでもない。
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どの民族がすぐれている、という迷信は人類が最後までもちつづけたがる迷信かもしれないが、いずれは衰弱してユーモアになってしまうかもしれない。ついには、その国の民度を測る規準として、極端に自文化についての優越感情をもっている民族こそ、卑陋で安っぽいといわれるようになるにちがいない(あと何世紀もかかるだろうが)。
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「ビジネス」
という目に見えぬ無形の巨大なものを「文明の一種類」として考えるなら、それが現代文明の濃密な特徴であることはいうまでもない。
当時のスペインやポルトガルが、運営の動力として所有していたのはそういう高級なものではなかった。冒険児と、欲望が行動の源泉であるひとびとだけによってうごかされていた。のち、ビジネスの感覚を提げて擡頭してくるイギリスやオランダに活躍の舞台を順次ゆずってゆくのは、むりからぬことであった。
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