「明治」という国家




読み:めいじというこっか
ジャンル:エッセイ

内容
「明治」は清廉で透きとおった“公”感覚と道徳的緊張=モラルをもっていた。維新を躍進させた風雲児・坂本龍馬、国家改造の設計者・小栗忠順、国家という建物解体の設計者・勝海舟、新国家の設計助言者・福沢諭吉、無私の心をもち歩いていた巨魁・西郷隆盛、国民国家の形成を目指したかれら“明治の父たち”は偉大であった。本書は、明治草創の精神を捉え直し、「明治国」という人類普遍の遺産を巨細に語りつくす。これは、著者畢生の日本論であり、鮮明な日本人論である。

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"「明治」という国家"のレビュー

(評価:5)
日本の原点
レビュアー: shiba-ryo
2010-01-21
ドラマ坂の上の雲の第一回のエンドロールで、小説坂の上の雲と並んで本書が原作にクレジットされていたので、気になって読んでみた。

この本は1989年放送のNHKスペシャル「トークドキュメントシリーズ 太郎の国の物語」を活字にして出版したもので、そのため全編が語り口調になっている。

構成は全6回の放送に合わせた6章立て。章ごとにテーマがあり、毎回何人かの中心人物を描いている。列伝っぽい感じ。

本書を読む少し前、NHKのETV特集で『司馬遼太郎の雑談「昭和への道」』を見たのは幸運だった。
読んでいると司馬遼太郎の声が脳内で再生され、直接語りかけられているような感覚で、著者の持つ明治時代と、その時代に懸命に生きた人々へのあふれんばかりの愛情が感じられ、とても良かった。


本書のタイトルは「明治という国家」だけれど、見方を変えると日本の近現代社会の成り立ちという、非常に重大で、日本の根幹をなすことを語っている。
今自分たちが当たり前のように手にしている自由と平等、ビジネスと経済、資本主義と民主主義などはすべてこの"江戸から明治初期"に骨格が形成されている。いわゆる日本の原点がここにある。


明治維新から140年ほど経つ今。日本はかつての活力を失い、迷走をつづけているが、こんなときこそ小手先のテクニックに走らず、原点を見つめ直す必要があると思う。
ちょっとおおげさかもしれないが、原点という意味で現代日本に生きる人々のバイブルといえる作品かもしれない。

文句なしに素晴らしい作品。「二十一世紀に生きる君たちへ」などと並んで、子々孫々に伝えたいと思う一冊だった。


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