風塵抄




読み:ふうじんしょう
ジャンル:エッセイ集

内容
(一)恒心とはすなおで不動のものという意味である。ひとびとに恒心がなければ、社会はくずれる。――著者
一九八六~九一年、身近な話題とともに、日本の土地問題、解体した「ソ連」の将来にのこる問題にいたる、激しく動く現代世界と人間を省察。世間ばなしのなかに「恒心」を語る、珠玉の随想集。
(二)いま世界に映っている日本人についての平均的印象は、やはり古来の実直という像ではないかと思える。……(「在りようを言えば」より)
一九九一年十月から九六年二月十二日付まで、現代社会をするどく省察。「ひとびとの心」の在りようを語り、二十一世紀に生きる日本人への痛切な思いと愛をこめて、今甦る著者の最後のメッセージ。

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"風塵抄"のレビュー

(評価:5)
司馬氏の残した想い
レビュアー: shiba-ryo.com
2006-07-03
産経新聞での月一回の連載エッセイを二巻にまとめた作品。第一巻は昭和六十一年五月~平成元年一月。第二巻は平成三年十月~平成八年二月。

収録作は一話あたり4~5ページ程度の短さ。内容は自身の日常を描いたものから日本の現状や未来に対する警鐘的なものまで多岐にわたっています。
ちょうどバブル崩壊、オウム事件など未曾有の問題が重なった時期。社会全体に不安がつのる中での執筆はかなり辛かったようですが、日本国・民族に対する溢れんばかりの想いでそうした諸問題を正面から受け止め、考え、解決を模索していく様子には本当に感心させられます。

既に司馬遼太郎の死去から10年が経ちました。時代も変わり、当時語った内容も幾分古く感じられるかもしれませんが、本質は何も変わっていないと思います。文字通り司馬遼太郎の"遺書"として、日本人として受け止めるべき一冊だと感じました。

それから最後に。第二巻収録の『島の物語』は自分にとって衝撃でした。
太平洋戦争終結から三日、降伏後にロシアが日本領「占守島」に攻め入ってきたこと。日露両軍が戦ったこと。停戦し、生き残った日本兵がシベリアへ連行されたこと。。。自分はこの事件について何も知らなかったため、強い衝撃を受けました。


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