街道をゆく (32) 阿波紀行、紀ノ川流域




読み:あわきこう、きのかわりゅういき
ジャンル:紀行文

内容
阿波へゆくことにした。阿波は南海道である。道は、文武天皇のときにさだめられた制で……全国を七道にわけ、東海道、東山道、北陸道、山陰道、山陽道、南海道、西海道としたのだが、このうち南海道は、紀伊を出発点として、淡路国へわたり、一海をへだてて、四国ぜんぶをふくめる(本文より)

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"街道をゆく (32) 阿波紀行、紀ノ川流域"のレビュー

(評価:4)
文化遺産と地方分権
レビュアー: shiba-ryo
2010-04-30
阿波と紀伊、南海道の両国をゆく本作。

京都と相互に影響し合い、産業と文化において成熟した阿波。
独立自尊の風が強く、難治の地と呼ばれる紀伊。

紀伊水道を隔てた隣国同士だが、それぞれに個性があっておもしろい。


特に阿波おどりのくだりで、司馬遼太郎が中央集権制によって文化が失われることを強く心配している点が印象的だった。

歴史・文化遺産を受け継ぎ、次代に伝えることの大切さをあらためて認識し、と同時に、今の閉塞した日本に活力を与えるのは、地方分権による活性化がもっとも効果的なのではないか、といったことを考えさせられた。


考えてみれば、大化の改新にはじまった律令制はやがて社会を停滞させ、その後の荘園領主、武士の勃興につながる。また律令制を復活させようとした後醍醐天皇もすぐに反対勢力に潰され、明治に至るまで地方分権が続いている。

中央集権という政治形態は、外敵に対抗する必要がある、非常事態においてのみ発動すべきもので、平時は地方分権でいるのが日本という国には合っているのではないか、と思った。


本書のレビューという点からは少しはずれたが、司馬遼太郎の作品を読んでいるうちに、いつからかこうした考察を自然とするようになっていた。自分が司馬遼太郎に惹かれる理由のひとつだと思う。


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