街道をゆく (35) オランダ紀行




読み:おらんだきこう
ジャンル:紀行文

内容
紀元前から、国土そのものを自分自身でつくってきたオランダにとって、将来を想定して現在を営むというのは、詩でなく、土工の一鍬一鍬の現実であったし、いまもそうありつづけている。オランダ人にとって歴史は抽象的なものではなく、また未来もこれほど露骨に具体的なものはない(本文より)

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"街道をゆく (35) オランダ紀行"のレビュー

(評価:5)
ゴッホとオランダ
レビュアー: shiba-ryo
2010-05-31
一巻まるごとオランダの本作。
勝手に分類だが、大きく分けて「日蘭交流史」「オランダの旅」「ゴッホについて」の3本立てになっており、どれもおもしろい。

日蘭交流史では長崎出島というほんの小さな穴から国内に入った蘭書が江戸日本に与えた影響を探り、そこから日本人とは何かを考えてゆく。

また17世紀にはじまる近現代の源流となった国、オランダ各地を巡ってその起源や背景をひもといていく行程は、資本主義、自由と平等といった近現代のルールや価値観をあらためて考えさせてくれる。

そしてゴッホについて。
彼の画家としての活動のほとんどがフランスにおけるものだが、オランダ南部ブラバントからはじまるその激しい人生を丁寧に辿っている。
ひとりの画家に対してこれだけ多くの枚数を割くのは街道をゆくシリーズでは他になかったと思う。また、その強烈な生き様がいきいきと描かれており、内容も非常に濃い。司馬遼太郎をはじめ、多くのひとびとがゴッホに惹きつけられる理由が、少し分かった気がする。

なお、本編執筆中に挿絵担当の須田画伯が亡くなっている。
既に30巻以上このシリーズを読んでいるが、毎回個性的な言動で楽しませてくれた画伯がもう登場しないと思うと、少し寂しく思う。


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